日頃から腰の痛みを患っている方も多いと思うが、この症状が続くと稀に片側の腰から足にかけて痛みが広がる事がある。
いわゆる坐骨神経痛というやつだ。
もちろん軽いケースもあるが中には座っていられなくなったり、歩けなくなったりするなど重症化する事がある。
そうなると病院に行って腰に注射を打ってもらって痛みを紛らす事があるが、体の中の根本的な問題を取り除かないとその先痛みが更にひどくなる事がある。
今回はそんな症状を長年お持ちの患者が当整体院に来院されたお話しを紹介する。
患者
60代男性 IT関係
問診
①左側の腰から足にかけての痛み。
②座ると左の腰とお尻が痛くなり長時間になると痛みがひどくなって座ってられなくなる。
③歩くと左足全体にかけて痛みを感じ、特にふくらはぎ外側の痛みがひどくなると歩けなくなる。
④この症状は20年以上前から起こっていて、その都度近くの整骨院やマッサージなどをよく受けていたとのこと。
所見
①体が硬い。
②うつ伏せで寝た状態で膝を曲げ、かかとをお尻につけようとするが、屈曲角度90°付近で膝の動きが止まってしまう。
③仰向けの状態でも股関節の屈曲検査をしたが、屈曲角度が浅く、お腹と前太ももが全く着かず、隙間が大きく空いてしまう。
④患者にベッドに座ってもらい後ろから観察すると、上半身が真ん中より少し左側に傾いている。
検査
①左臀部の筋肉が著しく硬い
②腰椎5番に歪みがある
③左骨盤が後方に回転していてズレが大きい
④左側の腹筋も固まっている
⑤股関節回転運動時にも動きの硬さが見られた
施術
①左の股関節の動きの回復
②骨盤矯正、そして腰椎の矯正
③筋肉(梨状筋と腹斜筋)の調整も行った。
経過
①施術を週一回のペースで3回行ったくらいから変化が生じ、座っていても腰とお尻の痛みが徐々に少なくなってきたとの事。
②足全体の痛みはほぼ無くなり、ふくらはぎ外側の痛みが若干残っている。
③歩行時に起きていたひどい痛みはなくなり、歩くのに支障がなくなってきた。
原因
左の梨状筋症候群と腰の脊髄神経の圧迫による痛みだった。
梨状筋症候群とは、お尻の奥にある梨状筋という筋肉が硬くなる事で、坐骨神経を圧迫し神経痛を起こす疾患のことだ。
この患者の症状は梨状筋症候群のものとかなり似ていた。
おそらくその影響で、ふくらはぎ外側の痛みも酷かったように思う。
座位姿勢でお尻の痛みがひどくなるのは、重心が左に傾き、体重と座面との間で坐骨神経の圧迫が強くなることによって、立位の時よりも更にひどくなって出ていたと思われる。
まとめ
腰から足にかけての痛みは左右どちらかの片側に出ることが多い。
そのため、腰椎部分やお尻などで神経が圧迫を起こすと、圧迫された側の足や腰に痛みを起こす。
今回のケースでは梨状筋症候群による足全体の痛みは取り除けたが、ふくらはぎ外側の痛みは残っていた。
この場合考えられる原因は2つ。
①腰椎部の圧迫がまだ残っているか、②すでに神経変性を起こしている可能性の2つのパターンが考えられる。
実は神経というのは圧迫が長く続くと変性(性質が変わる)を起こすこともある。
20年以上の月日が経っていることを考えれば、可能性は十分にある。
これに関しては今後施術をしていく中で見極めをしていかなければいけないが、神経変性を起こしてしまうと症状の変化は期待できなくなるので、坐骨神経痛などの神経圧迫症状は出来るだけ早く原因を取り除くようにしたい。
そのためには、①普段から体を柔らかく保つこと、②そして症状が出たら早めに受診することに尽きる。
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