日常生活の中で前にかがむ動作をすると、腰に痛みを感じることはありませんか?前屈みで起きる腰痛の原因は様々ですが、特に骨盤の後傾が大きな要因となっていることをご存知でしょうか。本記事では、前にかがむと痛みが生じる腰痛の原因と、それがどのようにして骨盤の後傾と関連しているのかを詳しく解説します。
目次
骨盤後傾によって前かがみ姿勢の腰痛が起きる流れ
前かがみで起きる腰痛は骨盤の後傾と非常に関係があります。ここでは骨盤の正常な位置について説明するとともに、骨盤の後傾が起きると、前かがみの姿勢時にどのような影響が出るかについてお話しします。
骨盤の正常な位置
正常な骨盤の位置では、腰椎(腰の部分の背骨)は自然な前弯(前方へのカーブ)を保ちます。この自然な前弯は、腰にかかる負担を分散し、バランスを保つ役割を果たします。
骨盤の後傾
まず骨盤が後傾すると、腰椎の前弯が失われ、腰椎がまっすぐまたは逆に曲がる(後弯)状態になります。この状態では、腰椎にかかる力の分散ができなくなり、特定の部分に過度な負担がかかります。
前かがみの姿勢
前かがみの姿勢を取ると、骨盤の後傾、そして腰椎の後弯がさらに強調されます。これにより、以下のような問題が発生します。
椎間板への圧力増加 : 椎間板(脊椎の骨と骨の間にあるクッションの役割をする部分)の前方に過度な圧力がかかり、椎間板が後方に突出しやすくなります。よって椎間板ヘルニアのリスクが高まります。
筋肉の過緊張 : 骨盤の後傾、腰椎の後弯によって腰と背中の筋肉はさらに伸張されます。筋肉は伸張すると、それを戻そうとして過度に緊張します。前かがみの姿勢はまさにこの状況を作り出して、腰に痛みを引き起こします。
神経の圧迫 : 腰椎が後弯すると、椎間孔という神経が出る穴が小さくなります。これによって神経が圧迫されやすくなり、神経痛やしびれが生じることがあります。特に坐骨神経痛が典型的な症状です。
腰痛の病名とその種類
骨盤の後傾が続くと、その上にある腰椎にも悪影響を及ぼします。以下に前かがみでの腰痛が起きる病名についてお話しします。
椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアは、椎間板内部の髄核(ずいかく)というゼリー状の物質が外に飛び出し、神経を圧迫する状態です。前にかがむと痛みが増すことが多く、特に骨盤の後傾が関与する場合、痛みが強くなる傾向があります。
脊柱管狭窄症
脊柱管狭窄症は、背骨の中の脊柱管が狭くなり、脊髄神経を圧迫する状態です。骨盤の後傾が原因で脊柱管の形が変化し、さらに狭くなることがあります。
筋筋膜性腰痛
筋筋膜性腰痛は、筋肉や筋膜が緊張し、痛みを引き起こす状態です。骨盤の後傾が筋肉の緊張を引き起こし、腰痛の原因となります。
骨盤が後傾しやすくなる理由
前かがみで腰痛が起きる人の中に、このような方がいます。
「椅子に座る時、正しい骨盤の位置がキープできず、座っているうちに、椅子の座面の前方向に、お尻がどんどんずれていく。」
「立っていても姿勢が悪く猫背になってしまう。」
このような人は骨盤が後傾になっている可能性があります。しかし話をよく聞くと、「最近そうなったわけではなく、昔から姿勢が悪かったり、学生時代から正しく座れなかった」と言います。一体なぜでしょうか?
これは、成長期のある問題が考えられます。それは、子供の頃に「ハイハイの時期が短かった」可能性があります。実は子供の成長段階でのハイハイは、腰椎の前弯が形成される非常に重要な作業なのです。このハイハイが少ないと、腰椎の前弯が形成されないまま成長するということが起きてしまいます。
前にかがむと痛い腰痛の対策:骨盤の調整によって後傾姿勢を改善する方法
骨盤の後傾は、普段から意識し対策をすることができます。ここに3つの対策方法をお話しします。
骨盤の姿勢を改善するエクササイズ
骨盤の後傾を改善するためには、適切なエクササイズが効果的です。効果的なのはハムストリングのストレッチ、臀筋のストレッチです。骨盤、太ももの後ろの筋肉が硬いと骨盤の後傾を強くしてしまうので、普段から筋肉を伸ばすことが対策になります。
正しい姿勢を保つ
日常生活での姿勢を意識することも重要です。特に座る際に骨盤の後傾が起きやすく、意識的に骨盤を立て、腰椎を伸ばすよう心がけましょう。長時間同じ姿勢を続けないようにし、定期的に立ち上がってストレッチを行うことも大切です。
整体など専門の施術を受ける
腰痛が長く続く場合や、痛みが強い場合は、専門の施術を受けることが必要です。特に整体では、骨盤が後傾の原因となる筋肉や骨などを的確に見つけて、適切な治療を受けることで、腰痛を早期にかつ効果的に改善することができます。
まとめ
前にかがむと痛みが生じる腰痛の原因には、骨盤の後傾が大きく関与しています。骨盤の後傾が腰椎の正常な弯曲を崩し、筋肉の過緊張や椎間板の圧迫を引き起こすことで、腰痛が発生します。また椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、筋筋膜性腰痛などに繋がるため、あらゆる方法で腰椎の正常弯曲を作る作業が必要になります。
1番のポイントは、普段から正しい姿勢を心がけることです。正しい座り方や自宅でのストレッチなどを日課にし、正しい姿勢を定着させましょう。それでもどうしても難しい場合は、整体など専門家に施術をしてもらうことをお勧めします。
整体施術と日常生活の自助努力の併用によって、最短で腰痛の根本改善ができます。前にかがみと腰痛が出る人は一度専門家に相談をして、原因を見つけてもらいましょう。
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