ぎっくり腰を経験したことがある人はわかると思うが、この症状はかなり辛い。
私も過去に一度腰から砕け落ちた事があり、その場から動けなくなった経験があるのでよく分かる。
今回はそんなぎっくり腰が一向に治らない、又は繰り返してしまうというような人に、耳寄りなお話をしたいと思う。
結論から言うと、ぎっくり腰と言うのは、表面上の筋肉疲労と言うよりかは、以前から根強く残っている体の問題によって、それが定期的に表に出てきている現象と言えるだろう。
よってぎっくり腰が治りにい病気で、何度も繰り返してしまう理由がそこにあるのだ。
今まさに、あなたがぎっくり腰の症状で苦しんでいるとしたら、改善のヒントになってくれる内容になるかもしれない。
患者
50代男性 会社員 技術職
問診
10年ほど前に家でくしゃみをしたときに、ぎっくり腰を起こしたことがきっかけで、そこから年に1回ほど定期的にぎっくり腰を繰り返すようになった。
ここ2、3年前からはどんどんひどくなってきて、年に2回から3回ほどに頻度が増えてきた。
近所の整骨院や整形外科、自費の整体院など治療院をいくつも回っていたが、一時的に症状が緩和されることはあっても治らない。
騙し騙しでここまで過ごしてきたが、年々症状が悪化しているように感じていて、困っているとのこと。
痛みの場所はいつも腰の右側にあり、仕事でデスクに一日座っている日には夕方には痛みで座っていられなくなってしまう。
所見
ぎっくり腰になっていない時も、腰(特に右側)のつっぱり感は常に感じている。
座った状態から前屈動作を始めると、右側の腰につっぱり感と痛みを感じ、深く曲げることができない。
患者の座位姿勢を後ろから見ると、上半身が右に傾いているように見える。
そして左右の肩の高さを比べてみると明らかに右肩が下がっている。
検査
①右の骨盤(腸骨)が後ろに倒れていて、お辞儀する際に骨盤が前に倒れない状態になっている。
②腰椎全体がねじれを起こしている。
③右の大腰筋が短縮している。
施術
・右の大腰筋リリース
・骨盤矯正(右腸骨と仙骨の矯正)
・第3腰椎の矯正
施術後に再度座位の姿勢になってもらうと、骨盤が安定しており体幹の右倒れが消失。
そのままの姿勢から前屈でお辞儀の姿勢を取ってもらったところ、右の骨盤(腸骨)と腰椎の動きは正常な動きに戻っていた。
患者に腰の違和感があるか聞いてみたところ、前屈時のつっぱり感や痛みはほとんど感じなくなっていた。
その後週1回のペースで約1ヶ月施術を続けたが、多少の違和感を感じることがあるが、日常生活にはほとんど支障がなかった。
ぎっくり腰出現の有無については、今後も施術を続けながら経過を見ていくようにした。
原因
今回何度もぎっくり腰を繰り返してしまっていたのは、骨盤の右倒れによって右重心で座る姿勢が常態化した事によるものだった。
この姿勢は、上半身を右の骨盤のみで支えることになってしまい、腰の右側の筋肉が慢性的に緊張してしまった事が考えられる。
まとめ
冒頭にぎっくり腰を繰り返す背景には、「以前から根強く残っている体の問題」が存在する。
そしてそれが、定期的に表に出てくる現象が”ぎっくり腰”である。
今回のケースは、筋肉や関節が長年の負担に耐えられなくなり、痛みとなって出現している状況だった。
この始まりは、右重心の姿勢を取るという癖だ。
それによって、骨盤や腰椎の可動性を損なう事になり、動作の始まりに痛みを出してしまうと言う結果になってしまっていた。
例えぎっくり腰の症状が一時的におさまっても、しばらくすればまた繰り返してしまうというのは、この問題が解決していないからである。
この患者の場合は、右重心の座り姿勢を改善する必要があったため、座り方についても指導をした。
その後の経過を見てぎっくり腰が起きなくなっていれば、今回施術した場所が原因だったということが確定的になるため、定期的にチェックすることにした。
ぎっくり腰の全ての症状が今回と同じ原因ということではないが、症状の裏にある潜在的な要因を見つける事ができれば、状況は大きく変わる事だろう。
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