”針で神経を刺されたような鋭いお尻の痛みを感じた事がある。”
そんな症状でお悩みではないだろうか?
これは坐骨神経痛という症状である。坐骨神経痛は腰を中心とした下肢全体に起こる事が一般的だが、この痛みがおしりに出るケースがある。痛みが強くて座っていられないこともあるほどだ。
ではこの症状、なぜ起こってしまうのだろうか?
今回はそんなお悩みで当整体院に来られた一人の男性のお話をさせていただく。
患者
50代男性 会社員 建設関係営業職
問診
約半年前に仕事で車でお得意先を回っている最中、現地に到着して車から降りようと地面に足をついた際に右のお尻に鋭い痛みを感じた。
そこから痛みが治まると思っていたが一向に良くなることはなく、車に乗る際は常に自前の座布団を敷いて痛みと闘っていた。
あぐらをかくのが苦手で左右の脚の開き方に大きな差があり、右側が開かないということがもう20年以上も続いている。
週に2回は出張で長時間車や新幹線に乗っている。
所見
患者の立った状態を後ろから観察した時に、上半身が体の中心から右にスライドしているように見え、かなりズレている。
さらに骨盤の右側が上方に上がっている。
患者を後ろから見ると、背骨が右にカーブしていて右肩が下がっている。
このように明らかに誰が見ても分かるほど体にゆがみがあった。
検査
股関節の検査では左右を比べると、やはり明らかな動きの差があった。
右股関節は左に比べて動きが固く、仰向けで回転運動させた時に、詰まりやひっかかりの感触が複数箇所であった。
右大腿部に内側方向に筋膜のねじれがあった。
右の臀部中心付近を押圧した際に患者は鋭い痛みを感じた。
施術
右腹部と太もも前面の筋膜リリース
股関節のリリース
骨盤の矯正
経過
施術後、右のおしりの痛みは軽減したが、日にちが経過すると症状が再発するということを何度か繰り返した。
関節の動きと骨盤のゆがみ度合いを毎回確認しながら、症状の経過を見ていくこととした。
原因
股関節が固まっており、右太もも前面部の筋膜のねじれによって、体に大きなゆがみを作っていることが原因だった。
右股関節の動きの制限はかなりきつかったために、再発を繰り返したと思われる。
左右で股関節の動きが全く違うので、歩いているうちにどんどん骨盤が中心から右に寄っていくという現象が起こる。
さらに、座っているときも立っている時も、常に右側に体重がかかってしまうので、お尻には通常の倍以上の圧力がかかるのである。
そうなると右のお尻の筋肉は固くなってしまう。
そこに座った時の圧力と、車の振動が加わる事で、坐骨神経を押さえつけて、今回のようなお尻の痛みに発展していた。
まとめ
このような坐骨神経痛の症状がおしりに出るケースでは股関節の動きの問題が大きく関係する。
股関節というのは下半身の関節の中で一番可動域が広い関節だ。
そこが制限されるということは、歩く走るなどのごく一般的な動きが制限されるということだから非常に問題になる。
そして左右どちらか一方の動きが悪くなったら、足の運びは左右非対称になるため、骨盤や背骨は簡単にゆがみを起こしてしまう。
今回の患者のように、坐骨神経痛の症状がおしりにあって、かつ左右で股関節の開き方が違うという人は、真っ先にこの原因を疑うべきである。
これが解決されると、今お持ちの症状はかなり楽になると思う。
しかしこの問題を長い間放置している場合、この患者のケースのように関節組織に癒着が起こる可能性がある。
そうなると緩解と再発を繰り返し、治癒までにある程度時間を要する事があるので、おかしいと思ったら早めに診てもらう必要があるだろう。
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