腰痛にはいろんな種類があるが、中でも多いのが寝起き時の痛みだ。
日中はそれほど痛みを感じないのに、なぜか朝起きる時が痛い。
「寝方が悪いのだろうか?」
「それとも枕やベッドマットが合っていないのか?」
と感じている人も多いと思う。
今回はそのような症状でお悩みの一人の男性のケースをお話しする。
ここでは朝起きると腰が痛い人に多い体の特徴がいくつか出てくるが、一番多いのが”腰椎のズレ”だ。
それが寝ている時も筋肉がリラックスできない原因になり、それによって起こっていることが多い。
闇雲に腰痛改善グッズを買ってお金を無駄にしないために、まずはこの記事を最後まで読んで、自分の症状と似ているところがないかチェックしてほしい。
患者
20代男性 建設関係のお仕事
問診
①半年ほど前から、朝腰が痛くて起き上がれないということが何度か起き始め、最近ではそれが毎日起きるようになりとても辛い。
②特に仰向けの状態から体を起こす時が一番辛く、体を起こそうと力を入れると、腰にピキッとした衝撃が走って、しばらく起き上がれない。
③又、くしゃみをした時も、腰に同じような痛みが起こる。
④うつ伏せ寝でほおづえをついて、腰を反らせたときも腰が痛くなる。
⑤しかし、日中は腰の痛みはそれほど感じない。
⑥仕事ではたまに重いものを持つこともあるが、基本力仕事ではないので、それほど腰に負担のかかる動作はない。
⑦学生時代には部活でバレーボールをしていた。
所見
①立った状態で腰の前屈と後屈の姿勢を取ってもらったところ、前屈動作には問題がなかった。
②しかし後屈動作を見たときに、腰椎の伸展角度が浅く、腰が反らせないため、膝を曲げて下半身全体で体を反らせていた。
検査
①腰椎4番の前方方向へのズレ、その下の腰椎は後方にズレているのが見つかった。
②両方の股関節が後方へのズレており、骨盤の動きがほとんど感じられない。
③左右の腸腰筋の緊張が見られた。
施術
両方の股関節の矯正、その後骨盤の矯正を行い骨盤周りを施術。
その後、腰椎の伸展をスムーズにするために腸腰筋のリリースを行った。
股関節の動きが特に悪かったため、約20分ほどで施術が終了。
仰向けからの起き上がり動作を再現、又立位での腰の伸展動作も行ってもらい、痛みがあるがを患者に確認してもらった。
仰向けからの起き上がり動作は若干の痛みは残るも、痛みの強さは最初よりも軽くなっている。
腰椎の伸展動作の痛みはほぼ感じなかった。
体を反らす際に曲がっていた膝は、施術後は曲がっておらず、腰椎のきれいな伸展動作が出来ていた。
原因
まずこの患者は腸腰筋が過度な緊張を起こしていて、寝るときに腰が反ってしまう状態だった。
腸腰筋は適度に緊張する事で、正しく姿勢を保持させる重要な筋肉であるが、緊張しすぎると腰は反ってしまう。
そのような状態で眠りについても、腰は常に反っているので、筋肉はリラックスできなくなって腰は緊張状態を強いられてしまう。
そして寝ている間に筋肉はどんどん固まってしまい、朝になって起き上がろうと体を動かした時に、腰の筋肉が伸びず痛みが走ってしまう。
これに加えてもう一つ原因があった。
この患者はL4腰椎すべり症の可能性があった。
腰椎すべり症とは本来きれいに並んでいる背骨が、何らかの原因によって一ヶ所のみが前方にすべる疾患のことを言う。
これによって脊髄神経の圧迫や腰痛を引き起こす。
今回は腰椎すべり症の初期症状で、脊髄神経の圧迫までには至っていなかったが、放っておくと症状は進行するので初期の段階で施術できて良かったと思う。
患者は学生時代の部活でバレーボールをしており、その頃から始まっていた可能性が大きい。
なぜなら腰椎すべり症はスポーツをする学生に起こりやすく、特にバレーボールはその際たるものだ。
サーブやスパイクの動作時に、腰椎を何度も伸展させるために、その都度腰椎が前方に滑る力が働くからだ。
今回見つかった腰椎のズレは、そのせいで起こったものだと考えられる。
まとめ
このように朝腰が痛くて起き上がれない、特に仰向けから起き上がると痛い人はこれらの問題が少なくとも1つ以上隠れている可能性が高い。
これは反り腰の人にも同様に起こりやすい症状なので、自分の症状と姿勢などをよく観察してみて、同じような症状で気になっている場合は、早めに対処することをおすすめする。
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