背中の左側だけが痛むとき、「寝違えたかな?」と思う方は多いですが、実際には背骨や肋骨、肩甲骨の動きの制限や、深部筋の強い緊張が関係している場合があります。
ときには、姿勢のクセや寝具の影響、さらには内臓の不調が痛みとして現れることもあります。
整体師の臨床経験から、「なぜ左背中にだけ寝違えたような痛みが出るのか」を構造的に解説し、悪化を防ぐための日常ケアと注意点を紹介します。
あなたの体の中で何が起こっているのかがよく分かり、不安がなくなると同時に回復の一歩になります。
目次
なぜ「左の背中」が寝違えたように痛むのか?
背中の痛みといっても、その背景にはさまざまな要因が関係しています。
「なぜ左だけ?」「なぜ寝違えたようにズキッと痛むの?」という疑問を持つ方も多いですが、これは筋肉・関節・姿勢・神経・内臓の複合的な影響によって起こることが少なくありません。
ここでは、整体師の臨床経験に基づき、左背部の痛みに関与しやすいポイントを整理して説明します。
筋肉の緊張や微細な損傷
背中の痛みを起こす主要な筋肉は、
菱形筋(りょうけいきん)
僧帽筋(そうぼうきん:特に中部〜下部)
広背筋(こうはいきん)
前鋸筋(ぜんきょきん)
肋間筋(ろっかんきん)
脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)
の6つです。
これらは上半身を支えたり、肩甲骨や体幹を固めたりして、長時間細かい作業をするために必要な筋肉です。しかし長時間固めることで、筋肉の緊張が続く事で、スパズム(意思とは別に縮んでしまうこと)を起こし戻らなくなります。
筋肉にスパズムがあると、普通の動き(振り返ったり、起き上がったりする動作)でも筋肉が無理やり伸ばされるために、寝違えのような強い痛みを感じるようになります。
筋繊維の損傷を起こすと、熱を持つこともあり、少しの動きでも鋭い痛みを感じるようになります。
骨や関節の問題
胸椎・肋骨の歪み(背中の運動制限)
胸椎(背骨の真ん中の部分)がねじれたり、肋骨が硬くなると、肋間神経が刺激され、背中や脇に鋭い痛みを感じることがあります。また、肋間筋が硬くなることで、深呼吸時の痛みや息苦しさが生じることもあります。
肩甲骨の可動域制限
肋骨や胸椎の動きが悪くなると、肩甲骨が本来の滑らかな動きを失い、常に筋肉が引っ張られた状態になります。結果として、菱形筋や僧帽筋が慢性的に緊張し、「寝違えたような痛み」を引き起こします。
姿勢・生活習慣による負荷
長時間の同じ姿勢(スマホ・PC作業など)
・背中を丸めた猫背姿勢で長時間作業
・片手でマウスやスマホを操作
・顔が常に左や右に向いた状態
これらの習慣が続くと、左右の筋肉バランスが崩れ、特に左側の背中に負担がかかります。
寝具や寝姿勢の問題
枕が高すぎる、マットレスが柔らかすぎる、またはうつ伏せ寝のまま顔を横に向けて寝ると、首や背中にねじれが生じます。この状態で一晩過ごすことで、左肩甲骨周辺の筋肉が引き延ばされ、朝起きた時に痛みを感じることがあります。
内臓由来の関連痛(まれなため見落としがち)
左肩甲骨の内側や背中の痛みは、まれに内臓の不調が反射的に出ているサインであることがあります。特に以下のような臓器が関係することがあります。
・心臓(心筋虚血・狭心症など)
・胃(胃潰瘍・胃炎)
・膵臓(膵炎など)
・脾臓
次のような症状がある場合は、筋肉や姿勢ではなく内臓性の痛みの可能性を疑い、早急な受診が必要です。「安静にしていても痛い」「呼吸や動きに関係なくズキズキする」「胸の圧迫感・吐き気・冷や汗がある」
注意すべきサインと「悪化させる行動」
単なる筋肉痛ではないサイン(受診を検討)
以下の症状がある場合は、単なる寝違えや筋肉の張りではなく、神経・内臓・感染などの可能性を考慮し、整形外科や内科、救急外来を受診しましょう。
・安静時も痛みが強く、夜眠れない
・胸の痛み、息苦しさ、冷や汗、吐き気を伴う
・手や腕にしびれ、脱力がある
・発熱や皮膚の発疹が出てきた
・突然強い痛みが出た(外傷がないのに)
痛みを悪化させる「やってはいけないこと」
長時間同じ姿勢(前傾姿勢):筋肉の血流が滞り、緊張が増す
片側での荷物・バッグ持ち:筋肉のバランスが崩れ、片側に負担
強すぎる自己マッサージ:炎症や筋スパズムを悪化させる
痛みを我慢して運動:損傷が進行し慢性化のリスク
合わない枕・寝具の使用:回復を妨げ、寝起きの痛みが強まる
喫煙・睡眠不足・ストレス:自律神経の乱れで筋緊張が増す
冷やしすぎ・冷風を当てる:慢性期では逆効果。温めが有効な場合が多い
ケーススタディ:よくある「左背中の痛み」とその対処法
背中の寝違えたような痛みは、姿勢や生活習慣の中に原因が潜んでいます。ここでは当院でよく見られる代表的な2つのケースを取り上げ、原因とおすすめのセルフケの実践法を紹介します。
例1:デスクワークの人に多い「左肩甲骨内側の慢性痛」
症状の特徴
・左肩甲骨の内側が常に重だるい。
・座ってパソコン作業をしていると痛みが増す。
・深呼吸や肩を回すと背中が突っ張る。
原因のメカニズム
・長時間の前傾姿勢(猫背)により、肩甲骨が外側へ広がった状態が続く。
・その姿勢を支えるために、菱形筋・僧帽筋中部が過緊張。
・左右どちらかに偏ったマウス操作やモニター位置で、左側に負担が集中。
これらが重なることで、筋肉の中に「硬結(トリガーポイント)」が生じ、動作時に寝違えたような痛みを感じるようになります。
1週間のおすすめセルフケアプラン
《1〜2日目:炎症の抑制》
筋緊張を緩和させるために、蒸しタオルで痛い場所を中心に左肩甲骨内側を5〜10分温める。長時間の座位を避け、1時間ごとに軽く肩を動かす。
《3〜4日目:筋膜リリース》
テニスボールを肩甲骨の内側に当て、壁で軽く圧をかけながら深呼吸。1回30秒×3セット。
《5〜6日目:可動域拡大》
「胸椎回旋ストレッチ」と「肩甲骨寄せ&リリース」を各10回ずつ。呼吸を意識。
《7日目:定着・姿勢リセット》
マウス位置・モニターの位置を真ん中に調整し、背中クッションを置き、背もたれに背中を預ける。また肩を後ろに引く“正しい座位姿勢”を1日意識して維持。
やると良いセルフケア
・蒸しタオルと軽いストレッチの組み合わせ(温→動)で痛みが軽減。
・仕事中、椅子の背もたれに背中を預けて休む時間を意識的に作る。
例2:寝具・寝姿勢の問題で「朝方に痛みが出る」ケース
症状の特徴
・朝起きた時だけ左肩甲骨がズキッと痛い。
・起きて動き出すと徐々に軽くなる。
・仰向けや横向きで寝ると痛みが出る日がある。
原因のメカニズム
・枕の高さ・硬さが合っていないことで、頚椎が左へ傾き、左の菱形筋や僧帽筋が一晩中引き延ばされる。
・マットレスが柔らかすぎると、肩甲骨が沈み込んで胸椎がねじれる。
・首を長時間回旋させたままのうつ伏せ寝で、筋肉が引き伸ばされ緊張する。
・その結果、目覚め時に筋肉のこわばりや神経刺激が起こり、「寝違えたような痛み」を感じる。
寝姿勢改善の具体策
枕の高さ:横向きで寝た時、首と背骨が一直線になる高さを目安に(肩の厚み分を調整)。
枕の硬さ:柔らかすぎると首が沈む。弾力のある中程度を推奨。
マットレス:身体が沈み込みすぎず、軽く押し返す反発力のあるタイプを選ぶ。
寝返り:寝返りを妨げないよう、布団を身体に巻きつけない。
サポートタオル:マットの沈み込みが大きい場合、仰向け時に肩甲骨下にフェイスタオルを軽く折って入れると、背中が安定。
「痛みが強い」「治りが遅い」は無理せず、専門家に相談しよう!
左肩甲骨まわりの痛みは、「長時間の同じ作業」「姿勢のクセ」「寝具が体と合ってない」など、日常の小さな要因が重なって起こることが多いです。まずは原因をよく理解し、生活環境を少し見直すだけで痛みの改善につながる事があります。
痛みが強かったり、安静にしていても痛みが治らない場合は、深刻な歪みによって筋肉にかかるストレスが続いている事が考えられます。その場合は、無理せず早めに病院、整体院に受診しましょう。
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