腰やお尻、太ももから足にかけて痛みやしびれを感じる、「坐骨神経痛」。ひどくなると、痛みが強くなったり、しびれの範囲が広がったりと、日常生活が苦痛に感じてしまいます。
また、一旦症状が軽くなったと思っても、また痛みが再発したりと、根本的に治すのが難しい様に感じることもあります。
そこで坐骨神経痛の早期回復を目的として、基礎知識から原因、一般的な治療方法と効果的な治療方法についてお話ししていきます。是非最後まで読んで参考にしてみてください。
目次
坐骨神経痛とは?
坐骨神経痛とは文字通り、坐骨神経に沿った痛みの総称です。この坐骨神経は下半身を通る神経で、腰椎から出たいくつかの神経が、お尻のところで一本にまとまり、太ももの後面を降りて足まで繋がります。一番太いところで直径1センチほどあり、人間の体の中で一番太い神経です。
坐骨神経痛は一部の例外を除いて、神経の圧迫によって起こります。つまり、腰からお尻の付近で神経に何らかのストレス(筋肉や骨が直接神経に触れたり押されたりする)がかかり、坐骨神経に沿ったお尻、太ももの前後、膝裏、ふくらはぎ、スネ、足裏と広範囲に痛みやしびれ、重だるさや感覚の異常など、様々な症状を感じます。
また片側のみに症状が出るのも特徴です。坐骨神経痛患者全体のうち、病院の確定診断によって原因が明らかになるケースは約20%、残り80%は原因が分からないケースなのです。
では原因が明らかなケース、原因が分からないケースについてそれぞれ詳しく見ていきましょう。
坐骨神経痛の原因となる問題
坐骨神経痛は主に神経にストレスがかかることで起こりますので、背骨や椎間板、筋肉に問題がある場合に起きやすくなります。坐骨神経に問題を起こす代表的なものを4つ挙げていきます。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアとは
腰椎椎間板ヘルニアとは、腰椎(背骨の中の腰の部分にある骨)と腰椎の間に挟まっている椎間板(ついかんばん)が、本来の位置から後方に飛び出してしまう病変のことを言います。
椎間板ヘルニアで何らかの症状が出ている場合、それは突出した椎間板がすぐ後ろの神経に接触するなどのストレスを与えていると考えられます。
椎間板ヘルニアになる原因
原因は椎間板に大きな圧力がかかり続けることで起こります。椎間板は骨とは違い、線維状の組織で、多少の伸縮性がありますが、上下の腰椎がねじれることによって、圧力が集中してかかり続けると、やがて壊れてしまいます。
そして何度も行う腰の屈伸動作により、髄核(椎間板の中にある組織)が椎間板から飛び出す事があります。
椎間板ヘルニアの治療法
基本的には痛みやしびれの症状が軽いものに関しては、保存療法で治療を行います。ほとんどは姿勢の改善により、椎間孔(腰椎から出る神経の出口)を広げる事により症状が消えるため、比較的容易に完治します。
しかし明らかに椎間板の突出が見つかって、それが神経に当たっていると判断された時は、突出した椎間板を切除する手術が必要になる事があります。
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管(せきちゅうかん)狭窄症とは
背骨の中には脊髄という神経の束が収まっていて、それらが背骨から枝分かれとなり全身に張り巡らされています。脊柱管(せきちゅうかん)とは背骨の中にある、脊髄が収まった管のことを言います。
その管の中のスペースが靱帯の肥厚(分厚くなる事)や、脊柱管自体のねじれによって、狭くなる事で、神経を圧迫し、腰痛や脚にしびれを起こす症状を言います。
腰部脊柱管狭窄症の特徴的な症状として、しばらく歩くと足が動かなくなり、休憩するとまた歩けるようになるというような「間欠性破行(かんけつせいはこう)」という症状が現れます。
腰部脊柱管狭窄症になる原因
原因は不良姿勢による、腰部への持続的な負担です。また腰椎の湾曲が強かったり、逆に湾曲が少なく真っ直ぐな場合でも、腰には過度な負荷がかかり続けます。
その状況が続くと、腰椎自体に変形が起こったり、脊柱管の内側にある靭帯(黄色靭帯や後縦靭帯)が、強度を強くするために分厚くなる事があります。
それによって脊柱管の内径が狭くなり、脊髄神経に圧力がかかる事で症状が発症するのです。
腰部脊柱管狭窄症の治療法
これも椎間板ヘルニアと同様に症状が軽度の場合は手術はしません。しかし重度の症状になると、手術が必要になる事があります。例えば、
・歩き始めて2〜30メートルで歩けなくなり、長距離の外出ができない
・両脚にかけて強いしびれが起こるようになる
・排尿障害が強くなる(自分で排便排尿をコントロールできなくなる)
このような症状が起こるようになると、脊柱管の狭窄による神経の圧迫が強く疑われます。
腰椎すべり症
腰椎すべり症とは
本来腰にある腰椎は、まっすぐ積み上がり、かつ綺麗な曲線を描いています。しかしその中の骨のひとつが、前方(お腹側)にズレてしまう事があります。
一つ下の方の腰椎に対して、前に滑るようにズレていることから、これを腰椎すべり症と言います。これにより、腰椎の安定感が損なわれて、腰痛や坐骨神経痛を起こしやすくなるという訳です。
腰椎すべり症になる原因
腰椎すべり症は、立ち姿勢時の骨の前後バランスの悪化によっておきます。例えば、骨盤の過度な前傾により、腰椎もろとも前に傾斜する事で、腰椎の前弯が助長します。
簡単に言うと反り腰と言う事です。これによって腰椎は斜め下方向への力がかかりつづけます。そこに腰椎の変形や靭帯の支持力の低下が重なると、起きやすくなります。
腰椎すべり症の治療法
腰椎のすべり度合いや神経の圧迫度合いによって、治療法も変わります。軽度のすべり症の場合、骨盤や仙骨の矯正、腰椎前方(お腹側)からの圧迫などにより、坐骨神経痛の症状は緩和する事があります。
しかし坐骨神経痛の症状がひどく、重度のすべり症と診断された場合には、腰椎を固定するなど、手術の適用も考えられます。
梨状筋症候群
梨状筋症候群とは
腰椎から出た神経繊維がお尻のところで束になり、坐骨神経となりますが、ちょうどその場所に、梨状筋(りじょうきん)という筋肉が、坐骨神経の上に横切って存在します。
梨状筋は坐骨神経と密接しているために、神経に当りやすく、場合によっては押さえ付けてしまう事があります。それにより坐骨神経痛を起こす症状を”梨状筋症候群”と呼びます。
梨状筋症候群になる原因
梨状筋が固くなり肥厚(分厚くなる)ことで神経を圧迫しやすくなります。日常生活での重心の偏りによって梨状筋に長時間負荷がかかり、硬くなる事で起きやすくなります。
梨状筋症候群の治療法
梨状筋症候群の治療においては徒手療法が一般的です。梨状筋の緊張を取り除くことで、ほとんどのケースは良くなります。
仙腸関節(せんちょうかんせつ)炎
仙腸関節炎とは?
仙腸関節は、お尻のところにある、左右の骨盤の関節です。ここは下半身の体重支持に最も大切な部分の一つになります。この仙腸関節に炎症が起きて坐骨神経痛と同じ様な、下半身の痛みとしびれの症状がおきます。
仙腸関節炎の原因
一番多い原因は、骨盤の歪みによる仙腸関節の離開です。女性の場合は、出産経験者に起きやすい問題です。骨盤の歪みを気づかずに放置していると、仙腸関節にズレが発生し、関節面どうしが離れてしまうという現象が起きます。
本来密着して下半身を支える役目をしているので、不安定になります。やがて仙腸関節の炎症を起こすと、坐骨神経痛の様な足まで感じる痛みを発症します。
仙腸関節炎の治療法
仙腸関節炎の治療は、徒手療法になります。軽い場合は骨盤の調整によって仙腸関節のズレをなくし、関節面を合わせる事で症状は軽快します。またひどい場合は、徒手治療と骨盤ベルトを併用し、しながら治していきます。
坐骨神経痛治療における姿勢の重要性
坐骨神経痛の改善において、骨盤と腰椎を意識した適切な姿勢は非常に重要です。また、座り仕事やたち仕事など、一定の姿勢を長時間続ける人においては、定期的な体位変換は痛みを和らげ、炎症を軽減するのに役立ちます。
また必要に応じて、患部をコルセットなどで固定、安静に保つことで、坐骨神経痛を軽減し、治癒を早めることができます。
椅子に座る際には、背もたれを使って背中を支え、座面の上には坐骨で当たる様に座りましょう。長時間座り続けないよう、最低1時間に1回は立ち上がり膝の屈伸や軽い歩行などを心がけましょう。
自宅でできる坐骨神経痛のケア方法
自宅で行う坐骨神経痛のケアの方法には、いくつかの方法があります。最も一般的な方法の一つは、ストレッチです。ストレッチは筋肉の柔軟性を向上させ、坐骨神経の圧迫を軽減するのに役立ちます。
腰や腹筋、太もも裏のストレッチを重点的に行いましょう。また、自宅で行えるエクササイズも効果的です。例えば、お尻の下にボールを敷いて、ゆっくりとお尻を回して臀筋を刺激することで、梨状筋を効率よくストレッチでき、坐骨神経の圧迫を軽減することができます。
場合によっては、冷却や温熱療法も痛みの軽減に役立ちます。炎症がある場合は、冷却パッドや保冷剤を患部に使用して症状を抑えましょう。
カイロプラクティックによる坐骨神経痛治療の効果
カイロプラクティックの治療は、坐骨神経痛の治療において効果的な補完療法で、体を支える骨盤の歪み、背骨の歪みを整える事ができます。坐骨神経痛の原因のほとんどは、姿勢の問題によって起きる、骨何の歪みや筋肉の緊張によるものです。
骨盤の傾きや背骨の歪みを整える事は、重心の前後左右の偏りを防止し、体の安定を図る上でとても重要な事であり、結果的に坐骨神経痛の症状を原因から取り除く事ができます。
椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎すべり症で病変が進行しているもの以外は、カイロプラクティックをはじめとした徒手療法によって改善する事が可能です。
坐骨神経痛が良くなった後、再発防止するための生活の改善
坐骨神経痛が良くなった後、再発を防止するには、日常生活の改善が重要です。まず、適度な運動を行うことが重要です。ジョギングやヨガなどの適度な運動は、筋肉のバランスが整いやすく、脊椎の安定性を高める効果があります。
また、適切な姿勢を保つことも予防に役立ちます。長時間同じ姿勢で作業する場合は、姿勢を変えたり、定期的な休憩を取ることが重要です。また、重い荷物を持つ際には、荷物を体に密着させて持ち上げるなど、腰椎や骨盤に負担がかかりすぎないように注意しましょう。
食事面でも、栄養バランスの取れた食事を摂ることで、体内の炎症を起きにくくする事ができます。炭水化物や砂糖などの糖質の過剰摂取には注意しましょう。
坐骨神経痛正しく治療する上での注意点
坐骨神経痛は、時に非常に痛みが強くなる事があり、日常生活に大きな支障を起こす事があります。よって早めに適切な治療法を見つけることが重要です。
まずは医師に相談し、画像検査で異常がないか診断を得ることが治療の第一歩です。もし目立った異常が認められなければ、整体やカイロプラクティックなどの補完療法が、痛みの緩和に役立ちますので、これらを並行して行うことをお勧めします。
当院では、カイロプラクティックを中心とした施術を行なっております。坐骨神経痛の原因から特定し、早期の回復をお手伝いします。