体に起こる多くの不調の中で、腰痛は男性で1位、女性で2位という国民の代表的疾患となっています。腰痛に悩む人々は少なくありません。特に、治らない腰痛や慢性腰痛に苦しむ方々は、その痛みと長く付き合わざるを得ない現状に不安や苛立ちを感じていることでしょう。
腰痛の種類には、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症など病名がつく腰痛から、検査をしても骨に異常が見つからない原因不明のものなど様々です。この様に幅広く腰痛の種類が存在するのも、原因を複雑化させている一因なのかもしれません。
この記事では、腰痛が治らない原因と、慢性腰痛の解決法について紐解いていきます。腰痛に関する悩みを抱える方にとって、有益な情報を提供できれば幸いです。
目次
腰痛が治らない理由とは?
1. 不適切な姿勢
現代社会において、デスクワークや長時間の座り仕事が増え、悪い姿勢が腰痛の主要な原因の一つとなっています。なぜ姿勢が悪いと腰痛になるのかと言うと、腰椎の弯曲が変化するからです。
本来正常な腰椎は、前方に向かってカーブを描く形を呈していて、この形が腰にかかる負担を最小限に抑えてくれています。しかし、座り姿勢が長く続いてしまうと腰椎の弯曲がなくなったり、逆の後方にカーブする様な形に変化します。それにより腰にかかる負荷が増加し、筋肉や関節、神経に過剰なストレスがかかります。この結果、腰痛が慢性化し、治りにくくなるのです。
2. ストレスと精神的要因
ストレスは腰痛の治らない原因として見過ごされがちですが、実際には大きな影響を与えます。精神的な緊張や不安は、自律神経の交感神経を刺激し、それが筋肉の持続的な緊張を引き起こし、腰痛を悪化させることがあります。
また、ストレスによって猫背姿勢になると、それがさらに腰痛を悪化させる悪循環に陥ることもあります。
3. 不適切な治療法
自己判断で行う治療や、適切でない治療法を続けることも、腰痛が治らない原因となります。たとえば、痛みを和らげるために薬に頼りすぎることや、過度な運動を行うことは、症状を悪化させる可能性があります。
慢性腰痛の隠れた原因
1. 内臓の問題
内臓の問題が腰痛を引き起こすことがあります。たとえば、腰痛に関係する臓器は「肝臓、腎臓、小腸、大腸」です。
病気まではいかなくても、悪い食習慣や外気温の変化などで、内臓に負担がかかったり、慢性の疲労状態に陥ると、それが腰痛の原因となることがあります。この場合、腰痛が治らないのは内臓の問題が解決されていないからです。
2. 神経の問題
腰痛が神経の問題に起因している場合もあります。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などで明らかな神経圧迫が原因で腰痛が慢性化することがあります。
腰椎や椎間板に病変がなくても、神経の出口である椎間孔が狭くなる事でも、神経にストレスを与え、腰痛になってしまいます。このような場合、神経の圧迫を解消する治療が必要です。
3. 骨の問題
骨の変形や骨粗しょう症などが腰痛の隠れた原因となることがあります。骨の健康状態が悪化すると、腰椎にかかる負担が増え、腰痛が治らないことがあります。
4. 筋肉の問題
腰痛の方によくある筋肉の問題は、弱化(じゃっか)という現象です。これは筋力の低下とは全く違います。”筋肉の弱化”とは、筋肉が過度に収縮している状態、または伸張(伸びている)している状態の事をいいます。つまり、正常な収縮と弛緩ができなくなっているのです。
この現象が起きる原因は、内臓機能の低下にあります。ある臓器が慢性の疲労状態に陥ると、その臓器に関連する筋肉が弱化を起こします。
こうなると、脳や脊髄から命令が来ても、筋肉はうまく収縮する事ができず、正しい運動ができなくなります。これが腰痛が治らない原因で一番多いケースです。
腰痛の原因が「腹筋や背筋の筋力が弱いから」というのは間違い!?
腰痛の原因をドクターに聞くと「腰回りの筋肉や腹筋が弱くなっている」と言われる事があります。腹筋や背筋が弱いと、腰椎を支える力が不足し、腰痛が治らないとのことですが、これは筋力が無い、ほんの一部のケースに限定されるケースです。
ほとんどの腰痛で、腹筋や背筋を鍛える事をすると、腰痛は悪化します。これは筋力が弱い事が原因ではありません。前述した隠れた原因である、内臓の問題、骨の問題、神経ストレスや筋肉の弱化の有無を診ていかないと治りません。
腰痛が悪化する間違った認識
現在行っている腰痛治療やケアが「原因を解消する」という考えに基づいて行われていないと、一時的に腰痛がマシになっても、長期的に見て良くなっていくことはないのです。
腰痛に関して、間違った認識を持っている人の考え方は以下のようなものです。
✔︎マッサージで良くなると思っている人
✔︎腹筋や背筋を一生懸命鍛えている人
✔︎すぐにコルセットを巻く癖がある人
✔︎痛み止め(注射や薬)に頼る人
腰痛セルフチェックリスト
ここであなたの腰痛が今どれぐらいの状態なのか、下の腰痛チェックシートでセルフチェックしてみましょう。点数が高い項目ほど、重症度が高いことを示しています。
症状の目安は、軽度(1〜5点) 中等度(6〜10点) 重度(11点以上)になります。
✔︎腰が重い | 1点 |
✔︎ 腰がつっぱる | 1点 |
✔︎ ストレッチすると楽になる | 1点 |
✔︎ 腰を温めると楽になる | 1点 |
✔︎ 体に”ゆがみ”があると感じている | 2点 |
✔︎ 腰をそらすと痛みを感じる | 2点 |
✔︎腰を曲げると痛みを感じる | 2点 |
✔︎ 年に一回以上ぎっくり腰を起こす | 3点 |
✔︎ 仰向けで寝るのが難しい | 3点 |
✔︎ 朝起きるときに腰が痛い | 3点 |
✔︎ 腰やお尻にしびれを感じる | 4点 |
✔︎ 長時間立ってられない | 4点 |
✔︎ 長時間座ってられない | 4点 |
✔︎ 安静にしていてもても楽になることはない | 5点 |
・軽度(1〜5点)
・中等度(6〜10点)
・重度(11点以上)
あなたの腰痛はどの部類に入りましたか?
このチェックはあくまで一つの目安に過ぎませんが、この先を読み進めることによって、それらの症状がどのようにして起きているのか、症状と原因とが結びついてくることでしょう。
今最も多い腰痛の原因とは?
私が腰痛患者を見る中で、一番多い体の問題が、背骨の弯曲異常です。これは短期的なものではなく、長期にわたって以下の様に見た目が変化します。
原因は幼少期の骨格形成時期に生じた問題が背景にあって、日常生活でのスマホやパソコンの見過ぎ、長時間の座りっぱなしなどが加わって、背骨の弯曲異常が起きます。
上の左の図を見てみると、本来正常な背骨は、このように程よくS字型にカーブしている作りになっているのですが、先ほどの原因によって、背骨のS字カーブが無くなってまっすぐになったり、逆に弯曲が強くなってしまう事があります。
このように背骨がまっすぐになったり、逆にカーブが強い姿勢になると、腰椎に対して過度な負荷がかかってしまい、周辺組織(筋肉や靭帯)が固くなってしまいます。また同時に椎間板にも強い負荷がかかるため、椎間板が壊れてしまうリスクも上がります。
実際には、腰痛患者さんの7割以上にこのような「背骨のS字弯曲の異常」が見つかります。
原因から考えた腰痛の正しい解決法
1. 正しい姿勢を保つ
日常生活で正しい姿勢を保つことは、腰痛の予防と治療に非常に重要です。デスクワーク中は、骨盤を立て、足をしっかりと地面につけることを心がけましょう。また、長時間同じ姿勢を続けないように、定期的に立ち上がって、膝の屈伸やストレッチを行うことも効果的です。
2. 日常に適度な運動を取り入れる
腰痛を予防するには、腰周りの筋肉を動かして、筋肉の緊張を取り除くことです。そのためには適度な運動を日常的に行うことが大切です。
しかし、ウエイトトレーニングで腹筋や背筋を鍛えるエクササイズは逆に腰痛を悪化させる可能性がありますのでやめましょう。ウォーキングやジョギング、ヨガ、ピラティスなどがおすすめです。
3. ストレス管理
ストレスを管理することも腰痛の治療には重要です。リラクゼーション法や深呼吸、瞑想などを取り入れて、心と体の緊張を緩和しましょう。また、趣味や友人との時間を大切にし、心のリフレッシュを図ることも効果的です。
4. 専門家の施術を受ける
自己流で腰痛の改善が乏しい場合は、整体やカイロプラクティックなど、専門家による施術を受けることが重要です。特に、治らない腰痛や慢性腰痛の場合、できるだけ早期に原因の特定と施術を行う方が数年先の状態に差が出ます。自分で考えず一度相談し、最適な治療プランやアドバイスをもらいましょう。
腰痛は決してあきらめることなく、適切な対策を講じることで改善が期待できる症状です。自分に合った方法を見つけ、健康な生活を取り戻しましょう。
当院では、カイロプラクティックを主体とした施術で、たくさんの慢性腰痛患者の根本改善に効果を発揮しています。